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植木屋祐のよもやま話〜part11〜

みなさんこんにちは!

 

植木屋祐、更新担当の中西です!

 

 

 

造園業と環境問題:自然と共に働く仕事のリアルとは?


今回は、街の緑を守る“縁の下の力持ち”である造園業が、どのように環境と向き合っているのかについて深掘りしていきます。

造園といえば「庭づくり」「公園の整備」といった印象が強いかもしれませんが、その本質は**“自然と人の共存”をデザインする仕事**。


しかし一方で、意外にも環境負荷と背中合わせの側面もあり、今、大きな転換期を迎えています。


◆ そもそも造園業とは?

 

造園業は、庭園や公園、緑地、街路樹、屋上緑化など、緑に関する空間を計画・施工・維持管理する業種です。個人宅の庭づくりから、都市計画における緑の整備まで幅広く対応します。

  • 設計(デザイン)

  • 施工(土木・植栽・石組みなど)

  • 維持管理(剪定、施肥、病害虫対策、清掃など)

こうした業務を通じて、美観だけでなく、都市のヒートアイランド対策や大気浄化、景観保全など、環境面での効果を担っているのが、造園業なのです。


◆ 環境に優しいはずの造園業が抱える矛盾

 

自然を相手にする造園業ですが、現場では次のような環境課題とも向き合っています。

● 化学肥料・農薬の使用

  • 植物の生育を促すために使われる化学肥料や、害虫駆除のための農薬は、土壌や水質の汚染リスクを伴います。

  • 安易な使用が周囲の生態系に悪影響を及ぼすケースも。

● エンジン式機器による排ガス・騒音

  • チェーンソー、刈払機、ブロワーなど、ガソリンエンジン機器はCO₂やPM2.5を排出します。

  • 騒音による近隣への影響も大きく、クレームの原因になることも。

● 廃棄物の処理問題

  • 剪定枝・草・根など、現場で出る緑廃(みどりはい=緑の廃棄物)は、膨大な量になります。

  • 適切な分別とリサイクルがされないと、焼却処分となり温室効果ガスを排出してしまいます。


◆ 環境配慮型の造園が求められる理由

 

これからの造園業には、自然と向き合う立場だからこそ**“環境を守る責任”**が求められています。

● 都市の緑が果たす環境機能

  • ヒートアイランド対策:緑地が熱を吸収・放出し、都市の気温上昇を和らげます。

  • 雨水浸透・洪水対策:土や植物が雨水を地中に戻し、水害を軽減します。

  • CO₂吸収・空気浄化:植物は空気中のCO₂を吸収し、酸素を排出します。

このような“環境インフラ”としての役割を最大限に引き出すためには、施工・管理のあり方そのものを見直す必要があるのです。


◆ 環境にやさしい造園への取り組み

 

造園業界では、次のような環境配慮型の取り組みが広がりつつあります。

  • 有機肥料・天然資材の使用:化学肥料を減らし、動植物由来の資材を活用

  • 電動工具・充電式機器への転換:騒音や排ガスを抑える最新機器の導入

  • 剪定枝の堆肥化・バイオマス利用:緑廃を「ごみ」にせず「資源」に

  • 生物多様性に配慮した植栽計画:在来種を使い、昆虫や鳥類の生息環境を守る


◆ 地域との共生が鍵

 

  • 公園の手入れを通じて、地域住民と顔の見える関係を築く

  • 子ども向けの「庭づくり体験」や「緑のワークショップ」などを開催

  • 高齢者の健康維持に役立つ“ガーデンセラピー”への応用も期待されています


自然と共に働く造園業だからこそ、環境へのインパクトを最小限に抑える努力は欠かせません。


次回は、造園業がどう進化し、どんな未来を描いていくのか、テクノロジーや社会変化の視点からご紹介していきます!

次回もお楽しみに!